まあるいいのち

のび太です。

今日13時過ぎに食堂で昼ごはんを食べていたら、NHKの番組に歌手の「イルカ」が出演していました。『なごり雪』で有名な方です。番組ではこの方の人生を振り返るとともに、『まあるいいのち』という歌についてエピソードを紹介していました。

この歌を知らない方もいると思いますが、生命保険のCMで使われていたことがあり僕も歌を聞けばどれのことか分かります。

♪みんな~おなじ~ いきているか~ら~
♪ひ~とり~に ひとつずつ たいせつな~いのち~

という歌です。「命の大切さを歌にしたかった」という考えのもと生まれた曲のようですが、曲名がすべてひらがなであること、少年少女との合唱版があることから、こどもを主眼においた歌なんだろうと番組を見ていて思いました。歌を作った当初は幼稚園や小学校で人気があったようです。

この歌にはこんな歌詞もあります。

「みんな同じ地球の家族」

「みんな同じ宇宙の仲間」

地球市民とかコスモポリタン的な言葉ですね。

正直僕はこういうの、子供だましだと感じます。「みんな同じ」って、そうですか?一つの学区内でも裕福な家の子がいたり給食費を払えない家の子がいたりしますよね。子供に「みんな同じなんだよ」って言うことにどんな意味があるんでしょう。

生活状況や境遇ではなく、命の重さについて言ってるんだとしても、それだって疑問を感じます。自分の家族が亡くなるのとどこか遠くの戦争で誰かの子供が死ぬのを同じものとして扱えますか?自分の子供が熱を出した時と同じように、駅で寝泊まりしている人の体調を心配しますか?

この歌にはアリとかカメとか動物も出てきます。ゴキブリと人間のいのちの重さ、同じですか?

とても同じとは思えないものを「同じなんだよ」と教えるのはどうしてなんでしょう。どんな意味や目的があるのでしょう。

子供に命の大切さを教えるには、「大切なんだよ」「同じなんだよ」という言葉を目や耳から子供の脳に認識させるんではなくて、実際に親が子供を大切に扱えばよいのではないかと思います。虐待受けている子に「大切なんだよ」と言ったところで何の足しにもならないと思うからです。なので僕は自分の子供にこういう歌を聞かせたくないです。

こういう歌は他にもあります。有名なものでは『It’s a Small World』とか『WE ARE THE WORLD』などです。前者についてはやはり子供だましだと感じます。ただ英語の歌詞には「世界は一つ」とか「世界は同じ」なんていう地球市民的な言葉はないので、日本語版ほどの違和感は感じません。

世界にはたくさんの人がいてみんな泣いたり笑ったり希望があったり恐怖におののいたりしている。世界のどこでも笑顔は友好を表す。

ざっくり言うと英語の歌詞はこんな意味なので、特に嘘はないですよね。日本人が歌詞をつけると「世界は同じ」になってしまう。きっと日本人は「同じ」とか「共通」ということが好きなんだろうと思います。

後者についてはキリスト教的博愛の精神が込められていて、みんな神の子なんだという歌詞が「みんな同じ」に似ていますが、これはチャリティ用に作られたもので「みんなで助け合おう」と呼びかける歌なんですよね。その時点でいろんな人がいて人生は様々だということを前提にしていることが分かります。

冒頭の歌に違和感を感じるのは、「同じだ」「大切だ」と繰り返すだけで「だから何?」と感じてしまうこと、その言葉を言ってさえすれば何かがかなうと思っているように感じられるところが僕にとって気に食わないんだと思います。子供だましは子供には通じるかもしれないし感化させられるかもしれない。でも子供にしか通じない価値観や教えってリアルじゃないってことだと思うし、教える意味はないと思う。

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