しずかです。
新コロナウィルスとトイレットペーパー
2020年2月27日、政府は新コロナウィルスの感染拡大に伴い、全国の小中学校に休校を要請しました。その発表直後からトイレットペーパー、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、生理ナプキン、おむつ、おしりふき等の紙製品を求める客がドラッグストアに殺到。オンラインでも同様に、Amazon、楽天、ヤフーショッピングのネット通販、イオンやイトーヨーカドーのネットスーパー、メルカリ、ラクマのフリマアプリに至るまで、在庫切れやログイン規制が起こり、一時騒然となりました。昔、教科書に載っていた1970年代のオイルショックのようです。
コストコ今こんななのか()
マスクとかトイレットペーパー買いに行くより人混み避けた方が予防になるのに
— Yoshiki Sahala (@yooshikn) February 29, 2020
Amazonには転売屋による高額の商品が並びました。(2020年2月28日)
騒動のはじまり
発端は、ウイルスの感染が広がっている中国から紙の原材料が輸入できなくなるというSNSの書き込みを信じた熊本の人々がトイレットペーパーを買い込みはじめたことからでした。それをテレビ番組が報道し、ニュースを見た人々によって騒動が全国へと広がっていきました。
トイレットペーパーの原材料は国産で98%以上が国内製造です。このことはニュースやSNSなどを通じて繰り返し情報伝達されましたが、混乱はおさまりませんでした。コストコには人々が押し寄せ、建物の周りを何周にも取り巻く黒い長蛇の列を作りました。カートにペーパー類をうず高く積んだ人々が行き交う姿を見て、これが本当に現代の日本での出来事なのかと目を疑いました。
コストコやドラッグストアに長蛇の列 トイレットペーパーなどの購入列「オープン2時間以上前から行列できてる・・・」 https://t.co/5eCEnkSuCR.
— ツイッター速報 (@tsuisoku) February 29, 2020
それでも買いたい人々
ウィルス感染を予防するには人混みを避けることと衆知されているのに、人々はリスクを冒して紙を求めました。入手が難しくなっているマスクを増産するとの政府の方針を受け、原材料が他の紙製品にまわらなくなると考えたようですが、マスクと他の紙製品とは原材料が異なるので供給に影響はないことはすぐにニュースで伝えられました。それにも関わらず、人々は紙を求め、街をさまよいました。
今日ドラッグストア行ったら在庫切れのオムツ棚の前で泣いてる女性と、店員に理不尽にブチ切れてるオッサンと、店の出口塞いで「休校迷惑よね〜!食料がない!」と井戸端してるオバサマ方がいてカオスだった
トイレットペーパー、ティッシュ、生理用品、キッチンペーパー、マスク、消毒は完売 pic.twitter.com/DezWRWxAfd— めんちゃん 2y👦♡9m👧 (@mura_a_0122) February 29, 2020
人々の背景にあるもの、家族が感染するのを待っているような日々
新型コロナウィルスは現時点でまだワクチンや特効薬が開発されておらず、感染しても重篤にならない限りは自宅静養するのみとされています。感染が疑われる患者は専用ダイヤルに電話し、専門の医療機関を受診。医師から保健所に連絡がいきますが、保健所の許可を得ないとウィルス検査さえしてもらえないという状況です。企業や行政の活動は現在も通常通り行われているため、満員電車による通勤等の感染リスクが非常に高い中で、毎日ただ家族が感染するのを待っているような状況です。私のような子育て中の主婦は、手洗いうがいやアルコール除菌はするものの、他に家族のためにできることは何もなく、ただただ無力感と不安だけが募る日々を過ごしています。
トイレットぺーパーは「選ばれやすい」商品?
ここから私の考察になります。
そんな中、いよいよ政府がこの1-2週間が感染拡大を阻止するための山場と発言しました。有志企業によるテレワークもはじまり、人々は外出を控えるようになりました。すると食料や日用品の買い貯めをしなければという意識が高まり、何もできず無力感を感じていた人々が行動を起こす絶好の機会となりました。正直、買いこむ対象の商品は何でも良かったのだと思います。今回はたまたま先述のトイレットペーパーのデマがあり、紙製品に殺到しました。冷凍食品も店頭から姿を消したそうですが、自宅の冷蔵庫の容量に限度があるのでたくさんは買えません。紙製品はどこにでも保管できて消費期限もないので誰もが買いやすく、有事の際の買いこみに「選ばれやすい」商品なのだと思います。
今回の騒動の直前に起きたマスク不足も追い打ちをかけました。マスクや除菌用アルコールが店頭から姿を消し、買えない状態が1か月以上続いたことも原因の一つだと思います。マスクがなくなったときに普段からまとめ買いをしていた人とそうでない人の差が大きく出てしまいました。今度こそ備蓄しておきたい、困りたくないという気持ちになるのは当然のことでしょう。
買いこみとは不安解消のためのミニゲーム
鬱々と不安が募る日々を過ごす人にとって、備蓄品を他の人より早く、たくさん手に入れることは、お手軽に小さな安心感を得ることができるミニゲームです。攻略したときの達成感で不安を解消しようとしているので、「トイレットペーパーは在庫が十分にあります」という貼り紙を見たところで、いい気持ちにはなれないのです。次のターゲットを探して、また殺到する。そういう非日常のお祭りなのです。
トイレットペーパーを買いあさる人々を見て愚かだという人もいますが、私は、不安な気持ちを解消しようとする、生きようとする力の強い人たちなんだと感じました。発端となった熊本の人々は大地震を経験して色々と感じることがあったのでしょう。不便な生活への抵抗感がとても強いのだと思います。今回の騒動はとても興味深いものでした。これについていろんな意見を聞いてみたいと思ったので、自分の感じたことを書いてみました。皆さんはどう考察されますか?