『透明なゆりかご』最終回感想

のび太です。

録画してあった『透明なゆりかご』の最終回を見ました。このドラマは出産がテーマで精神にズシーンと響くので、安易な気持ちや片手間に見ることができず、録画してもなかなか見る準備が整いません。全10回でそれぞれ大事なテーマを扱っていますが、今回も重かったです。ここからネタバレにもなるのでこれからご覧になる方は注意してください。

今回のテーマはお腹の中にいる赤ちゃんに重い病気が見つかるというものでした。夫婦は産むか産まないかで迷い、産むと決めたあとは延命治療をするかどうかでまた悩みます。文字にしてしまうとこんなものですが、そもそも20週くらいで赤ちゃんに命にかかわる重い病気が見つかるというのは、それだけでもうとてつもないショックだと思います。うちもしずかちゃんが今23週なので、この時期の様子がよく分かります。お腹が大きくなってきて赤ちゃんが中で動き回っているのを感じることができます。この子が病気で「産まれても生きていけない」と言われたらと思うと、想像するだけできついです。

ドラマでは夫婦はまだ若いからと堕胎することを一度は決めました。これにはいろんな考えがあると思います。若いから産まずにやり直すということも一つでしょう。反対に若いから産んで、短くてもその子が一生をまっとうして、また弟か妹が授かるようにするのも一つです。「産まずに」という点を快く思わない人もいると思いますが、それは夫婦の問題であって他人が口出ししてよいことではないと私は思います。

ドラマでは堕胎に踏み切れない奥さんに対し、旦那さんがなんでと疑問に思うシーンがありました。そこに先生が、女性はこの時期別の命がお腹の中にいることを実感し始めると説明しました。これが20週より前であったら奥さんも家族で決めた通り堕胎に臨んだかもしれません。別の命が宿っていると実感することは、理屈ではおさめられないインパクトを我々の心に残します。

産んで、できる限りの治療をして、赤ちゃんの体が「治る」ことを希望するように夫婦は変わりましたが、気持ちが晴れないように見える奥さんについて水川あさみ演じる看護師が、本心を言わせてあげてくださいと先生にお願いします。このあたりは、実際にこんな看護師、先生がいてくれたらいいなと思いました。現実の世界ではなかなか言えないことだと思うからです。

いつからか、どこからか、無意識のうちに長く生きることが望ましいと私たちは思い込んでしまっていると思います。病気で生まれてくるのはかわいそうだし、可能なら治るといいと思っています。でもそれは周りの家族の勝手ではないかと私は思います。短い人生がかわいそうで長い人生がよいなんて、誰かに決められることではないはずなのに。心臓に疾患があって、延命措置を施さなければ生まれて数日、数時間で死んでしまうとしても、それがその子の人生で、生きている間に幸せを感じられることが大事だと思うし、短いのが不幸だなんて、誰にも言えないはずです。ただただ周りの家族にとって、大切な人がいなくなってしまうということが悲しいんです。

ドラマの中でこの夫婦は延命治療をしないことを選択しました。その代わり赤ちゃんとずっと一緒に過ごせるようにしてほしいと病院に希望しました。短い時間の人生だったけど、赤ちゃんは幸せだったと思います。でもお母さんは、自分は逃げたんだと自分を責めました。そんなことはないと思うけれど、この時の判断をあとになって後悔したり疑問に思ったりすることもあるんだろうなと思います。そういう時は夫婦で支え合えるといいなと思いました。

このドラマはこの回で終わりですが、テーマやストーリーに集中させてくれる脚本や役者たちの自然な演技は本当に素晴らしかったです。それと音楽も。しずかちゃんのお腹に赤ちゃんがいる今、このドラマに出会ったことも僕たちには大きな出来事だったと思う。子供が生まれて人生が進んでいけば色々悩みも苦労も出てくるし、ハードルを一つずつクリアするごとに子育てにも高望みするようになるかもしれない。でもこのドラマを見ると、命ってそもそもなに?子供が生まれるってどういうこと?という根本的な場所まで立ち戻れるような気がします。

最後に、NHKのホームページに主演の清原果耶からのメッセージが載っていたのでご紹介。

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