しずかです。
さっそく食事作りの準備に取り掛かった汗だくのおばば。外は暑かったでしょうし10時まで休憩してくださいね、と声をかけましたが、もう始めるというのでお願いすることにしました。ちなみに、予約したときに前日までに準備することがあるか聞きましたが、「あるもので作るので特にありません」とのことでした。うちは二人暮らしであまりストックを置かないので、野菜を買い足しておいた以外は特に準備していません。何にでも応用できそうな、肉(鶏、豚、牛)、魚(サバ)、野菜、豆製品、米、麺類、調味料など、少し多めに基本の食材を用意しておきました。
はじめに冷蔵庫の中を見せて中のものはなんでも使っていいこと、食器、調理器具の場所を説明しました。その後は、別室で洗濯物をたたんだり、くつろいだりして過ごしました。2時間も近くで手元を見られるのは作業がやりにくいかなと思ったからです。途中で2回ほど味を確認してくださいと声かけがあり、味見をしました。キッチンに入るとおいしそうな匂いが漂ってきて、日頃自分で料理をしているとこういうシチュエーションはなかなかないので、嬉しくなりました。今思えば、この瞬間が幸せのハイライトでした。
味見をさせてもらうと、一口目には人に作ってもらった感動も相まって美味しく感じるのですが、二口目にはしょっぱすぎたり、味が薄かったり、あまり味が合いませんでした。ひとつの料理につき一度ずつコメントをしました。でも、それだけじゃばっちり味を合わせることは難しいでしょうし、何度も指摘されると気に障るかもしれないので深い追及はしませんでした。というのも、味見をしながらの雑談の中で、「外でこんな仕事をしているので自宅では1品料理しかしませんよ。家族が文句を言いようもんなら『黙って食べろ!』って言ってやりますよ!」と言っていたのが印象的で、きっとこの人は自分のやることに文句を言われたくない性格なのだろうと感じたのもあまり味を追求しなかった理由のひとつです。
私は仕事で人を雇う立場だったとき、スタッフには上司の目を気にせず能力を発揮してもらいたいと常々思っていました。あまり細かい作業手順に口を出さないことをモットーにしていたので、今回のこのおばばにも何度も指摘するのはやめようと思いました。まあこれには賛否両論あると思います。今回は顧客の立場ですし、満足するサービスを受けたければ根気強く調整して、好みの味になるまで教えることも大事でしょう。その弊害で、指摘しすぎると相手が委縮して全体のパフォーマンス効率が落ちることもありますが。今回は「できるだけたくさんの品数を作ってほしい。ジャンルは和洋中なんでもよい」というオーダーを出していたので、今回はのびのびやってもらうことを優先しました。品数があればそのうちいくつかは口に合うものがあるはずですから、何とかなるだろうという見立てです。
2時間あるので、プロなら16品、人気業者で11品ということを踏まえて、今回は8、9品くらいを期待していました。自分で作るときの目安は30分で3品なので、使い勝手の分からない初めてのキッチンで作るならそれくらいだろうと推察していました。
気になるお味と総合評価
オーダーは「できるだけたくさんの品数を、和洋中なんでもよい」です。1時間半経ったところで「できました」と声がかかりました。完成品はこちらです。
なすとピーマンと豚肉のみそ炒め
鶏のニンニク醤油炒め
ツナポテトサラダ
ほうれん草と揚げの煮びたし
じゃがいもと人参の煮物
厚焼き玉子
の計6品です。
正直な感想をいうと、今回は無料だからいいけど自腹だったら、、がっかりだったと思います。この業者さんの料金は、通常2時間で7200円。その価値はあったかというと微妙です。
まず品数が少ないです。2時間あるのに1時間半で作業を終えられてしまったのにも疑問が残ります。食材もまだまだあったのに、調理をやめてしまって、残りの30分は「私はアイロンが得意で、アイロン講師もやっています。シャツはありませんか?」と言われました。せっかくなので時間いっぱいかかって2枚やってもらいましたが、私や彼がやるよりかなり雑で、細かいしわが多数残っていました。これで30分で2枚1800円もかかるのであれば、クリーニングに出した方がいいなと思いました。
作られた料理はすべて和風の家庭料理でした。6品中5品がしょうゆと出汁の似たような味つけです。うーん、私が献立を作るなら、もっといろんな味わいのものを組み合わせると思うので、全体的にメニューのバランスが悪いように感じました。唯一、洋風のポテトサラダは塩がきつくてすごくしょっぱかったです。指摘したら、ワインビネガーを足していました。このときに「この人は料理は下手だわ」と思いました。普通は味を薄めるには、食材(卵やじゃがいも)を足すものです。調味料を増やすなんてどうしたんだろうと思いました。私の知らないおばあちゃんの知恵みたいな奇跡が起こることを期待しましたが、案の定、すっぱすぎて目をつぶってしまうほどの悶絶の一品となりました。
次に気になったのは、使う食材の量です。市販の冷凍ほうれん草を1袋用意していたのですが、煮びたしを作るのに丸々一袋使い切っていました。結構な量です。茹でて出汁に浸すだけの料理なんて3分あればできます。家事代行サービスでわざわざ作ってもらってもらうほどのメニューじゃないし、そんな簡単な料理に丸々一袋使うくらいだったら、少しずつ別の料理に使ってほしかったです。特に最近は猛暑の影響で野菜の価格が高騰していて、同じ主婦ならその状況は知っているだろうに、なんでこういうもったいない使い方をしちゃうかなと残念に思いました。
鶏のニンニク醤油炒めは、本人はかなり自信があるようで確かにおいしかったですが、やはり味が濃かったです。気になるのは、この一品に鶏肉しか使われていないことです。あれだけ食材があったのにひとつも野菜を入れず、どうして鶏肉だけで作ったのかちょっと理解できません。栄養バランスや食感のことを考えないタイプの方なんでしょうか。ちなみにこの料理に鶏モモ肉を1.5枚ほど使っていて400g以上あります。大量のニンニク味の肉です。飽きます。これなら半分ずつ親子丼や唐揚げといった別の料理にしてほしかったなあと思いました。
厚焼き玉子も、卵だけを使ったもの。これで卵4つ消費していましたが、だったら納豆やホウレン草、明太子くらい混ぜてもよかったんじゃないでしょうか。ひき肉やじゃがいもを入れたスパニッシュオムレツとか。6品中2品が鶏のみ卵のみしか使わない料理だなんて。。
全体的に使っている食材の種類が少なく、味付けも似通っていて、完成品の品数も少ない。何十年も主婦をやって家事代行スタッフとして働いているのにこのレベルとは驚きました。これでは栄養バランスもイマイチなので、塩分、糖分、脂質を気にしている妊婦さん向けのお料理ではないなという印象です。
今回、この方がたまたまこうだった、ということかもしれませんが、全体的な感想として、実家のお母さん(素人)が代わりに料理を作ってくれる、くらいに捉えた方がよさそうです。お金を払うからプロが来るなんて期待しちゃいけなかったですね。
色々書きましたが、総括すれば、「無料だからいいけどね」の一言に終始します。いい経験になりました。次の食事作りは別の業者に頼んで、またレポしたいと思います。