のび太です。
『まんぷく』第29回の感想です。
忠彦は帰ってくるなりはんこ制作を手伝おうとしますが、克子は絵を描いていればいいと言ってくれます。でもきっと戦争の影響で書けなくなってるんだと思います。昨日の最後、万歳に紛れ込んできた神部はまだ帰りません。帰らないどころか床を掃除して居座ろうとしています。忠彦も神部もはんこを手伝いたいと言いますが、そもそも材料となる木がなくなってしまいました。
仕事がなくなったので子供たちに勉強してなさいと言う克子。そこへ神部が、自分が教えると進言します。今は泥棒の身だけれど、実は大阪帝国大学を卒業したのだとか。それを買われて神部は家庭教師のポジションをゲットしました。鈴だけがでまかせ言うんじゃないと怒ってましたが、まあ、ここ数日は鈴の方が泥棒への対応として自然ですね。見てる側としては瀬戸康史に悪い役やらせるはずないので何の疑問もなく受け入れてしまいますが。
神部は仕事、というか役割を得ただけでなく、いつのまにかここに住む許しも得ているようで、みんなで神部をどこに寝かせるのか相談しています。ここでも鈴だけが神部を家に置くことに反対しています。「あなたは、出ていけ」って。
その会話の中で忠彦が、フィリピンで目を傷めたことを告白しました。まじかで照明弾を直視したらしく、視力はあるけれど色が分からなくなったとのことです。特に赤と緑が。これは色弱ですね。赤と緑、もしくは青と黄が見えにくくなるパターンがあります。先天性のものしかないと思っていましたが、事故でそうなることもあるんですね。色弱、色盲は現代においても治りません。もっとも、色の見え方の違いを「治す」という発想自体ナンセンスな気もします。
今は「色盲」と言ってはいけないのだったかな。たしか「色覚異常」と呼ぶことになったような。呼び方変えた上で「異常」というのも変な気もします。誰しも自分の目を通してしか色を認識できないのだから、それが他の人が見ている色と同じかどうかなんて誰にも分からないことなんですよね。
色が識別できなくなったことを告白した忠彦に対して克子や福子が思うのは、大好きな絵をもう描くことが出来ないという忠彦のつらさ、悲しさですが、鈴からは「そしたら、まともな仕事に就いてくれるのね、忠彦さん」というもの。この忠彦の心情をまったく無視した台詞が、克子と子どもたちを案じての言葉ならまだ納得のしようもありますが、鈴はおそらく自分の気持ち、「男は安定した仕事に就くべきだ」というものにこだわっているだけの台詞にしか見えないから印象が悪い。
翌日になって福子と萬平は闇市へ来ています。この日から「パンパン」の女性が画面に映るようになりました。『カーネーション』の奈津を思い出します。たいていパンパンの女性は派手できれいな女性が演じるものですが、このドラマでは派手ではあるもののきれい?という感じの女性になっています。これが現実に近いのでしょうか。
萬平は闇市でハーモニカを吹いて施しを受けている男性を見つけました。これが加地谷でした。意外と早い再登場。なんでのこのこと大阪に戻ってきたんでしょう。萬平よりも福子が激怒しています。
こんなに怒る福子は初めてではないでしょうか。
「日陰で生きていく」という加地谷に対し、萬平は「憲兵隊に捕まったことで福子と結婚できたようなものです」と言って許します。そして明くる日、神部にお使いを頼んで加地谷に言付けします。
「諦めないで、どうか生き抜いてください。あなたの人生の主役は、あなたなんですから」
神部が加地谷に渡したものは、「加地谷」と彫られたはんこでした。
そのはからいに痛み入る加地谷。
これは今後加地谷が萬平を救う場面がありそうですね。