のび太です。
朝ドラについて書くのは久しぶりですが毎日見ています。『半分、青い』、ヤバイです。「全部、真っ黒」という感じです。漫画を一生懸命書き始めた頃(だいぶ前のような気がしますが)は面白くなってきたと思ったんですが、それも2週間くらいで限界を迎え、あっさりとやめてしまいました。スズメの心境的には全然あっさりではなく、粘ってしがみついてがんばっていたけど、力不足を痛感してそうするしかなかったことでした。一生懸命やったから引き際も分かった。そういう展開でした。
でも実際そこの描写はすごく薄くて、心情が読み取れるようなシーンはなく、台詞で気持ちが説明されるということが多いのです。なので見てる側としては何もかもがあっという間に過ぎていく。月曜に漫画を辞めると言い出して、水曜にはもう別の仕事を始めている。他の朝ドラなら、月曜日に辞めようか悩むきっかけがあり、一週間かけて悩み続け、土曜日に結論を出すという流れになるところです。全部そうである必要はないしそれが正しいわけでもないですが、『半分、青い』について一つ一つの重要な区切りですら心理描写が薄いのは、つまらないと思わせる大きな要因だと思います。まるで総集編を見ているみたい。
律が結婚したとき、あっという間に結婚してなんの心理描写もなかったので、これはあっさり別れるんじゃないかと思いました。そしてスズメが急に律を好きな設定になったので、いずれ律と結ばれることにするんじゃないかと疑い出しました。だからスズメがやはり急に涼次を好きになった時、正人と同じように単なる噛ませ犬になる気がしました。全部が唐突だから、思い入れがないままストーリーが進むから、何かに至るための途中経過に過ぎなくて、辻褄合わせがしたいだけなんだろうなと推測させてしまうのです。
だから展開があべこべになってばかり。涼次が離婚を切り出したとき、家族よりも映画を選ぶという涼次に対して、「私が好きになったのはそんなりょうちゃんじゃない!」とスズメは言いました。そうでしたっけ?スズメが唐突に涼次を好き鳴った時、涼次は映画監督目指して夢を追ってるまっただ中でした。そして自分の夢は諦めたけど、今度は涼次の夢を応援するんだと言って結婚したはずでした。涼次は前回の映画で脚本を成功させ、今回も既に内々で認められています。映画監督デビューの道筋がついていて、スズメが応援していた夢が実現するところになって、今度は急に「年を取ったんだから、親になったんだから、夢なんて追いかけてんじゃないよ」って、年取ったら、親になったら、夢を追ったらいけないんでしたっけ?子供が出来たら人間は自分の人生すべて子供に捧げなければいけないんでしたっけ?
ここでもスズメが日々の暮らしに精一杯な描写や、子どものことを時間がない中で一生懸命世話してるような描写があれば、そんなスズメを置いて涼次はなにやってるんだという気持ちに見てる側もなるかもしれませんが、そんなの一切ないんです。この間まで夢を応援すると言ってたのに、ドラマの中で急に数年経過して、スズメが別人のようなこと言い出して、見てる側の気持ちは置き去りなんです。涼次も、元住吉が売れて悔しがるシーンとか未練が残ってるシーンなんかがあればいいのに、まったくないから感情移入するタイミングありません。真面目に働いてる描写もなかったから涼次が夢を諦めて家族のために生活しているという設定も、台詞から想像するだけです。
結局は、役者を使って、このドラマを使って、漫画にせよ映画にせよ、そして脚本家にせよ、何かを創造するという仕事はものすごく大変で、時には家族を犠牲にしなきゃいけないこともあって、私のやってる仕事はこんなに大変なものなんです。私はそんな世界で頑張って成功したんですって、脚本家の言いたいことを聞かされてるだけなんじゃないかという気にさせられます。今のところ、かなりつまらないです。超能力が使えた『純と愛』はまだまだ別格だとしても、『まれ』といい勝負してます。
土曜日に「私は今でもりょうちゃんに恋してる」といってたのに、その日の次週予告でもう「私は律を支えたい!」って言うスズメに、誰が気持ちを寄せられるのでしょうか。なんか変です。このドラマ。