ふるさと納税のワンストップ特例は損をすることがあるようです

しずかです。

今回、寄付金控除の還付申告をするにあたって、税務署に問い合わせて新たに知ったことがあります。
①ワンストップ特例制度を利用した場合、全額住民税で控除され、所得税は控除されない
②場合によっては、ワンストップ特例制度を利用すると、損をすることがある
ということです。

今回、私が寄付金の還付申告をした5年間の中には、ワンストップ特例制度を利用した年も含まれていました。ここでふと疑問に思いました。「私が還付申告したいのは公益社団法人への寄付で税額控除の部分ですが、申告書にふるさと納税の寄付の所得控除を記入すると、ワンストップ特例ですでに控除されてる所得控除を再び計算することになって、実際に還付額として入金される金額より、申告書の数字が大きくなってしまいますよね」と税務署に聞いてみたところ、「ワンストップ特例を利用した場合、所得税は関係ないので大丈夫ですよ。全額、住民税側で控除されてるんです」という回答をもらい、①を知ることとなりました。これには驚きました。

ワンストップ特例を利用すると、全額、住民税で控除される!?

私はふるさと納税がはじまったわりと初期から利用していて、確定申告すれば所得税と住民税が控除される仕組みと長らく理解していました。ワンストップ特例制度がはじまってからは「確定申告しなくても税務署と自治体が税計算をしてくれる、サラリーマン納税者にとっての簡便措置」と認識していて、実施される控除の中身は同じだと思っていました。でも違うんですね。実際にどういう仕組みなのか調べてみました。※全体像を把握するのが目的なので、細かい計算式は省きます。

ワンストップ特例の住民税控除の仕組み

もしワンストップ特例を利用した場合、上述のとおり、本来できるはずの所得控除ができなくなります。つまり、納税者が受けられるメリットが少なくなります。それをフォローするために、住民税で「申告特例控除」という追加控除の仕組みが作られていて、寄付金額から2000円を除いた、残り全ての金額が住民税から控除されるようになっています。こうすることによって所得控除できなかった部分が解消され、結局、納税者にとっては、所得税で減らされるか住民税で減らされるか、名目の差でしかなくなるようになっています。

しかしです。これがいつもうまくいくとは限りません。この追加控除の計算には「特例控除」の数値を使用するのですが、それには所得割額の20%が上限というリミットがかけられています。このリミットが時に悪さをして、ワンストップ特例を選んだせいで損をしてしまうようなケースが出てくるのです。これが冒頭の②です。

例えば、前年の所得金額が少ないのに今年たくさん寄付してしまった場合、リミットを超えた部分は控除がすっかりカットされてしまいます。すると、住民税の追加控除の「申告特例控除」部分が小さくなり、所得税の控除部分をフォローしきれなくなります。確定申告していればマイナスされていた部分が、ワンストップ特例だと残ってしまうのです。

具体例とともに知りたい方はこちらのブログの記事を読んでいただくと分かりやすいです。確定申告したときと比べて、7000円も損してしまうようです。(寄付額20万円、所得税率20.42%、所得割55万円のとき)
ワンストップ特例を利用すると損をするという話は本当か?https://furusapo.fururi.jp/article/one-stop-exception/

「そんなケースなかなかないよ!」と思われるかもしれませんが、「今年はたくさん稼いだから、その分たくさん寄付をして自治体のお礼の品をたくさんもらおう!」ってなること、よくあるケースだと思いませんか?ポイントは前年はあんまり稼いでなかったのに、というところ。転職したてのときとか、収入が大きく変わったときに、該当する可能性が出てくるんじゃないかと思います。

ワンストップ特例を利用せず、自分で確定申告した方が絶対にお得!

今回このことを知って、今後サラリーマンになることがあったとしても、絶対にワンストップ特例ではなく自分で確定申告しようと思いました。②のように思いがけず損するケースになったら嫌ですし、給与所得者の確定申告は財務諸表を作る必要もなく計算が簡単なので、そんなに手間もかかりません。何より自分で計算すれば、税金のからくりへの理解と発見があって毎回勉強になります。会社に年末調整を任せたり、自治体にワンストップ特例を任せるよりも、各段に税の知識が増えるのでお金の面だけじゃない大きなメリットが得られます。

ちなみに、今回私が還付申告したことで、所得税が減り、税務署から該当金額が還付されます。それを受けて、ワンストップ特例ですでに控除された住民税に調整が入り、来年分に上乗せする形で追加納税があるはずです。それと合算すれば、税額控除分の還付額だけが手元に残り、試算したトータル金額と計算が合うはずです。数か月後に送られてくる納付書で答え合わせができるので、そのときこの理解が正しかったか確認したいと思います。

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