出産については、自分が子どもが好きなのかどうかということも引っかかっていました。小学生のころ感じた、同級生たちと自分とのギャップが気になっていたからです。10代になって、大学受験や就職対策に頭がいっぱいの私とは反対に、「子どもはかわいい」「はやく子どもがほしい」と言う彼女たちとは、ほとんど話が合わなくなっていました。そのころから漠然と、私は子どもがあまり好きじゃないのかもしれないなあと思いはじめていました。
子どもと接してわかったこと
語学力を磨くため、大学時代は4年間テーマパークでアルバイトをしました。毎日、小さな子どもたちが目をきらきら輝かせて遊びにきます。この子たちに夢の世界を存分に味わってもらおうと、私ははりきって仕事をしました。そこで気づいたことがありました。私は子どもという存在自体がとても好きだということです。「子どもはとてもかわいい。大好き。自分の子どもじゃなくても、とにかく子どもという生き物が好き」そう言うと、周りの人たちからは、
「自分の子どもならもっとかわいいよ、好きならはやく産んだ方がいいよ」とよく言われました。でもそれにはあまり同意できませんでした。自分の子どもだからもっとかわいいというのは、強烈なエゴイズムのように思えてなりませんでした。かわいいからほしいというのも、理由になっていないように感じました。
ほしい理由は「かわいいから」?
子どもがほしい人に、なぜほしいのか、理由を聞きました。ほとんどの人の答えは、「かわいいから」「子どもが好きだから」でした。そんな理由なの?と驚きました。子どもは一度産まれたら、その先ずっと面倒を見ることになります。キャリアや資金計画など人生設計に大きく影響するので、相当な覚悟が伴う決断だと思います。意外とみんなはあまり細かいことは考えずに子どもをほしがっているのかな、どうして私はこんなに考え込んでしまうんだろう。自分が頭でっかちの理屈やのように思えて、落ち込んだりもしました。ほしいとも思うけど、大変そうだからほしくないとも思う。自分の気持ちがわからないまま、もやもやした20代を過ごしました。