妊娠が分かった日のこと
不正出血とおりものによるかゆみがあり、婦人科にかかることにしました。数年前に不正出血があったときに子宮頚管ポリープが見つかり、手術をしたことがありました。再発することがありますと言われていたので、今回もまたそれだろうと思いました。診察予約の電話をすると、婦人科の担当医師がいるのは翌週の火曜か水曜だと言われ、それまで約1週間待つことになりました。
その間にもどんどんかゆみがひどくなっていたので、以前にもらったカンジダの薬(膣錠)を自分の判断で入れました。かゆみは翌日にはおさまりました。そして診察当日を迎え、事情を説明すると、お医者さんから「妊娠の可能性は?」と尋ねられました。
「妊娠は希望しています。できていたら嬉しいですけど、日にち的にまだ分からないですよね」
と答えました。生理予定日は2日過ぎていたものの、このくらいはよくある遅れだったので気にしていなかったのと、妊娠検査をするには1週間くらい過ぎてないと正しい結果が出ないと思ったからです。内診をして、やはりポリープが見つかりました。米つぶほどのサイズでも、出血すればドバっとまとまった量が出ます。今回の不正出血の原因はそれである可能性が高いけれど、念のため子宮がん検診も受けました。
「妊娠の可能性があるから、今回ポリープは取りません」
「内診が終わったら尿検査をしましょう」
ずいぶん妊娠の可能性を推してくるお医者さんだなあと思いました。
サバサバ系の女性医師
婦人科は内診があるので、男性医師に診てもらうのは抵抗があります。以前の不正出血のときに、最寄りの女性医師を検索して見つけたのが、そのクリニックでした。物腰のやわらかな、かわいいおばあちゃん先生で、ポリープの手術では、痛みもなく、あっという間に取ってくれました。今回もそのおばあちゃん先生に診てもらうつもりだったのですが、高齢のためか、もういらっしゃらなくなっていました。代わりに、婦人科を担当していたのは、40代くらいの女性医師でした。一言で言えば、口調が強めのサバサバ系。ちょっと変わったタイプの方です。話し方にやや癖があるので、患者さんによっては好き嫌いがあるかもしれません。私は、仲の良い友人に同じタイプの方がいて、とても気が合うので、特に抵抗はありませんでした。
妊娠判定のための尿検査
内診後に一旦診察室を出て、尿検査をすることになりました。尿の入ったカップをトイレの個室内にある窓付きのボックスに入れるようにと指示があり、その通りにしました。カップに自分の名前が書いてあったかは覚えていないのですが、ボックスに入れたときに、他にも数名分のカップが置いてあったので、取り違えが起こらないか少し心配になりました。
その瞬間
待合室で待っていると、名前を呼ばれました。尿検査の結果が出たようです。「まだ妊娠判定ははっきり出ませんでした」と言われると思って、気楽な気持ちで患者用の椅子に座りました。お医者さんは2つ窓のある妊娠検査薬を見せながら、
「まだ上の窓まで結果が出てないんだけどね」
「ここにしっかり2本の線が出てるでしょ」
妊娠検査薬を使ったことのない私は、2本の線が何を意味しているのか分かりません。
「妊娠されています。おめでとうございます!」
お医者さんと助手の方がマスク越しに笑顔で拍手をしてくれました。あまりに突然のことだったので、一瞬何が起こっているのか、分かりませんでした。
「え、本当ですか?!」
その後は、2人の顔を交互に見ながら、「えー!」としか言えませんでした。少し落ち着いてから、
「この結果は何%くらいの確率で正しいのですか?」
と聞きました。
「いや、こう出てるってことは、間違いないよ」
と笑いながら言われて、やっと自分が妊娠した事実を受け止められました。
「これは、すごいことになった!」
今後の妊婦生活の注意点などについて説明がありましたが、涙目になりながら、ぼーっとしたまま聞いていました。